「ごちそうさまでしたー!」
夕飯を食べ終えたこどもの声とともに、食べ終わった皿をキッチンに運ぶ。
こどもの好きなDVDの音を聞きながら、私は流しに向かう。
シンクには、使い終わった皿やコップが積まれている。
ふーっと一息ついて、取りかかる。
ひとつひとつ手にとって、まずは食洗機に入れる皿の仕分けを始める。
いつものお皿を、いつもの場所に手際よく置いていく。
どう置けばいいのか迷っていた、食洗機を使い始めたあの頃が懐かしい。
流しいっぱいにあった洗い物は半分以下になる。
残りは手洗いだ。
泡立ったスポンジでお皿をなぞると、するーっと汚れがとれていく。
泡を流し終えたら、乾きやすいようパズルのようにラックに置いていく。
うまく置けるとなんだかうれしいのだ。
そして何もなくなった流しの中。
それをみると「今日のひと仕事が終わったな」と実感する。
誰に見せるわけでもないけれど、日々を守っていくために必要なこと。
洗い物もそのひとつだ。
こうした何でもない作業こそが、日々を支え、わたしを、暮らしを作っているのかもしれない。
きっと明日も同じように、皿を洗うだろう。
その繰り返しの中に、人生の静かなぬくもりがあることを、私は”作業療法”という学問を学んで知った。
何かを成し遂げなくてもいい。今日もごはんを食べて、片づけて、眠る。
そのすべてが、かけがえのない一日なのだ。
そして気が付けば、飲み終えたコップがまた流しの中にはいっている。
むむむ…と思いながら、これもまた愛すべき日常なのかもしれない。

ー暮らしをつくる、今日の作業ー
「洗いものをする」