8月の作業帖|「団子を作る」が私をつくる。

日々を編む

こんにちは!管理人の作業療法士・ハルです。

2026年からはじめた、日々の作業を記録する「1日1投稿」も8か月目を迎えました。
8月は子どもの夏休み真っ只中。長いような、短いような…。でもこうして子どもと過ごす日々も、いつか終わってしまうのかと思うと、大切にしたい時間だなと感じながら過ごす日々でもありました。

今回は、8月の投稿の中から一番印象深かった作業をひとつ選び、その作業に込められた意味を振り返ります。

一番印象深かった「団子を作る」作業

8月の作業を振り返ったとき、選んだのは「団子を作る」という作業でした。

「団子を作る」という文字だけを見たとき、あなたはどんな場面を思い浮かべましたか?

おやつに食べたくて作ったのかな。
誰かのために作ったのかな。
夏休みに子どもと一緒に作ったのかな。

同じ「団子を作る」という作業でも、読む人によって、思い浮かべる場面はきっとそれぞれ違ったはずです。

私にとって「団子を作る」という作業の意味

私にとってこの作業の”団子”とは、「迎え団子と送り団子」。お盆にご先祖様のためにつくるものでした。

子どもの頃、お盆になると祖母の家へ行き、13日には迎え団子を、15日は送り団子を作るのが当たり前の風景でした。

ボウルにいれただんご粉に、ちょっとずつ水を注いで、団子状になるまで手でこねて。水の量が難しくて、ときにはべちゃっとなってしまったり。
大きなかたまりになったら、同じ大きさに母がちぎった団子を、きれいなまんまるになるように、両手でくるくると丸めていきます。

小さい頃はきれいに丸くならなくて、ゆがんだUFOみたいなお団子がちらほら。祖母や母が作る、丸くてきれいなつるつるのお団子みたいにしたくて、毎年手伝っていました。

団子ができたらたっぷりのお湯でゆがいて、浮いてきた団子からすくっては氷水へ。できたての団子はつやつやととても美味しそうで、お供え用にきれいに積み上げようとしてもつるんと落ちてしまう団子を「早く食べたいな」と思っていました。

ご先祖様を迎え、そしてまた送り出す。ただ「団子を作る」という作業に、これだけの記憶が色濃くあり、その一連の作業が、私の中のお盆の記憶として深く刻まれています。

祖母が亡くなり、家が遠方ということも重なって、最近では”お盆に帰る”という習慣がだんだんできなくなってきました。それでもお盆が来ると、”ご先祖様を想いたい”という気持ちがどこかにある。別にやらなくても、ばちは当たらないかもしれない。でも、自分の中で育ってきた気持ちが、この作業をしたいと駆り立てるのです。

団子を丸めながら、祖母のこと、遠くにいる親戚のこと、ご先祖様がいたから今の自分がいることを、静かに思い返していました。この作業は私にとって、「ご先祖様を想う」という気持ちを形にするための、大切な作業でした。

作業療法の視点から「団子を作る」作業を考える

作業療法では、「その作業がその人にとってどんな意味をもつか」を大切にしています。同じ作業でも、その人がその作業に込める意味によって、作業に対する重要度もまったく変わってくるからです。

今回の「団子を作る」という作業は、その考え方をわかりやすく示してくれる例だと感じています。

たとえば「団子を作る」と聞いて、「おやつを作る作業」と捉える人もいれば、私のように「ご先祖様を想う作業」と捉える人もいる。表面上は同じ「団子を作る」という動作でも、その背景にある意味はまったく異なります。

そしてこの「意味の違い」は、文字だけを見ていてもわからない。表面上の会話だけでもわからない。「最近何か作りましたか?」「団子を作りました」という会話だけでは、その人がその作業に込めている思いには、なかなかたどり着けません。

作業療法士として人と関わるとき、「何をしているか」だけでなく「なぜそれをしているか」「その作業はその人にとってどんな意味があるか」を丁寧に聞いていくことがとても大切です。そしてそれは、専門職だけに限ったことではないかもしれません。家族や友人との日常の会話の中でも、「その人にとってその作業がもつ意味」に少し思いを馳せてみると、相手のことがより深く見えてくることがあります。

普段意識しない作業ほど、実は深い意味があるかもしれない

あなたの暮らしの中にも、「気が付いたらずっと続けていた作業」はありませんか?

毎年この時期になるとやってしまうこと。
誰かに言われたわけでもないのに、自然とやりたくなること。
面倒だと思いながらも、やらないと落ち着かないこと。

そういった作業の中に、自分でも気づいていない大切な意味が隠れていることがあります。「なぜ自分はこれをしているんだろう」と、少し立ち止まって考えてみると、自分の価値観や、大切にしていることが見えてくるかもしれません。

来月も、日々の作業をそのまま記録していきます。

▼関連記事
1日1投稿、はじめます。
1月の作業帖|「看病する」という作業が教えてくれたこと
2月の作業帖|「名前付けをする」という作業が教えてくれた こどもの成長
3月の作業帖|「運動する」って難しい。作業療法士が自分の暮らしで気づいたこと
4月の作業帖|作業療法士の視点から気づいた、実は高度な「予定調整」という作業
5月の作業帖|「ありがとう」を伝えることも作業である
6月の作業帖|いつも私のそばにある「音楽を聴く」という作業
7月の作業帖|「調べる」という作業は、検索する前から始まっている

タイトルとURLをコピーしました